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9日だけのイングランド女王レディ・ジェーン・グレイの生家と思われる遺構が発見

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十六世紀、九日間だけイングランド女王となったレディ・ジェーン・グレイ(1537年10月10日~1554年2月12日,在位1553年7月10日~7月19日)の生家とされる石造りの建物が英国レスターシャー州のブラッドゲート・パークで発見された。

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レディ・ジェーン・グレイ”Lady Jane Grey”

レディ・ジェーン・グレイは1553年、イングランド王エドワード6世が亡くなった際、後継者と定められていた王妹メアリ(のちのメアリ1世)がカトリックであったことから、これを嫌った重臣ノーサンバーランド公ジョン・ダドリーによって擁立された。エドワード6世の父ヘンリ8世の妹メアリの娘フランシス・ブランドンと有力貴族サフォーク公ヘンリ・グレイの間の娘で、エドワード6世死後、ノーサンバーランド公の息子ギルバートと結婚の上でクーデターを敢行して即位したが、貴族の多数の反対を受けてメアリ派の巻き返しに遭いわずか九日で失脚、1554年2月12日処刑された。

「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(ポール・ドラローシュ作,1833年)

「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(ポール・ドラローシュ作,1833年)

ブラッドゲート・パーク

ブラッドゲート・パークは850エーカー(340ヘクタール、約343.9万平方メートル)もの広大な面積を誇る公園で、十三世紀に狩猟地として史料に登場、十五世紀半ば以降グレイ家の領地となり、1520年に最初の館が建てられてから、十八世紀にグレイ家がこの地を手放すまで代々の居館「ブラッドゲート・ハウス」が築かれていた。現在はその遺構が一部残っている。

ブラッドゲート・ハウスの遺構

ブラッドゲート・ハウスの遺構
© Stephen McKay / wikimedia commonsより

発掘調査結果

発掘調査指揮したレスター大学のリチャード・トーマス博士は「ブラッドゲート・ハウスは非常に象徴的な場所だが、立っている構造や、それが時間とともにどのように変化したかについてはほとんどわかっていない」という。この調査のため、2015年から五か年計画での発掘調査が行われていた。

同地は長くレディ・ジェーン・グレイの出生地と信じられていたが、今回、現存するレンガ造りの建物跡の下から石造りの建築物が発見されたことで、これがレディ・ジェーン・グレイの生家の跡である可能性が高まっている。「私たちの証拠によると、レディ・ジェーン・グレイが見ていた風景と、私たちが今日見ているものとはかなり違って見えたかもしれない」とトーマス博士は述べている。

今後、このレンガ造りの建物の土台となっている石造りの遺構の調査を進め、建設・解体時期の特定が進められる。トーマス博士は「我々はテューダー朝時代の最も重要な家族の一つの生活水準について証拠を見つけることを望んでいる」という。

ブラッドゲート・パーク・トラストのディレクター、ピーター・タイルデスリー氏は、「英国の女王になってから9日間しか経っていないにもかかわらず、レディ・ジェーン・グレイは今も人々を魅了する人物だ。私たちは彼女が育った家の保護者であることを誇りに思い、過去5年間にわたりレスター大学のブラッドゲート・フィールドスクールを主催し、チューダー・イングランドの最も重要な家の一つについてより多くのことを発見するための探求を続けている」と語っている。

この他、1万4500年前の氷河期時代の狩猟の跡や、約9,000年前から6,000年前にさかのぼる中石器時代の狩猟の跡も発見した。また、鉄器時代の居住地と中世の狩猟小屋の跡も発見したと報じられている。

レスター大学による発掘調査とフィールドスクールの様子(2017年)

参考文献・リンク

Free public event to reveal new discoveries at popular attraction will take place on Saturday 29 June.(レスター大学)
Birthplace of England’s ‘9-Day Queen,’ Jane Grey, Discovered Under Park(LiveScience)
Archaeologists uncover Bradgate Park home of Lady Jane Grey(Leicestershire Live)
・森護著『英国王室史事典』(大修館書店,1994年)

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