スコットランド地方グラスゴー近郊の都市ペイズリーにあるペイズリー修道院の中世の地下水道に関する長年の謎が解けた。

ペイズリー修道院
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ペイズリー修道院は、七世紀頃、聖ミリンによって創建されたと伝わる伝統ある修道院で、中世スコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレスが幼いころここで教育を受けたという言い伝えが残り、スコットランド王ロバート2世(1316~1390)が生まれた地でもある。日本でもお馴染み「ペイズリー柄」は同修道院の名前に由来する所在地の都市ペイズリー市で誕生したことにちなんだ名称だ。
ペイズリー修道院の地下排水道は19世紀に発見されたあと所在がわからなくなり、あらためて1990年代、再発見されたものだ。十三~十四世紀頃に遡ると思われるアーチ型の地下水道は全長約100メートル、繰り返し発掘調査が行われて多くの出土品で知られ、一般向けの見学ツアーも開催されているが、これまで地下水道の出口が見つかっていなかった。
ペイズリー市によるペイズリー修道院地下水道案内動画
今回、調査チームが六週間かけて調査した結果、十四世紀頃のアーチ型の排水口と修道院の境界壁が発見され、長年の謎が解けることになった。
調査チームを率いた考古学者ボブ・ウィル氏は、「我々が予想していた以上のものを発見することができ、本当に刺激的だ」「我々は排水口の端と修道院の境界壁を見つけた。この排水溝の主要部分は十四世紀半ばまでさかのぼり、驚くほどよく保存されている。多くの場合、これらのタイプの排水道は、その上の土地に圧力がかかる都市部ではなく、農村部にある。しかし、何世紀にもわたってその場所にある建物の数を考えると、排水道の状態は信じられないほどだ」という。
この発見は現在再び覆い隠されているが、将来的には見学者が排水溝までアクセスできるようになるツアーが恒久的に実施されるかもしれない。「将来のどこかの時点で排水溝へのアクセスがより永続的になるだろうことが理想的で、我々がここで発見したことはそれを実現可能にする」とウィル氏は述べている。


