Netflix製作、マーティン・スコセッシ監督最新作「アイリッシュマン”The Irishman”」が完成し、11月にNetflixで配信されることが発表され、あわせて予告編が公開された。
舞台は第二次世界大戦後から1970年代にかけてのアメリカ。全米トラック運転組合チームスターを牛耳り裏社会との親密な関係で知られたジミー・ホッファと彼の下で数々の犯罪に手を染めたフランク・”アイリッシュマン”・シーランを描く、実話をもとにした作品。

アイリッシュマン(2019年)
© Netflix,Martin Scorsese
ジミー・ホッファ(1913~1975)はアメリカの現代史では有名な人物で、第二次大戦前、トラック運転手の労働組合を組織して高い交渉力で頭角を現し、一介のトラック運転手から全米随一の労働組合の指導者となった。裏社会のと親密な関係で知られ、殺人や汚職など数々の犯罪の背後に彼の存在があった。後にケネディ政権下でロバート・ケネディ司法長官らに厳しく批判されて逮捕され、ニクソン政権下で司法取引の後、組合の委員長職から退くことで釈放される。1975年、行方不明となり、後に死亡扱いとなった。彼の下で数々の汚れ仕事をこなしたのが労働組合の幹部であり同時にマフィアの構成員でもあったフランク・シーランで、死の直前、彼はある”衝撃の告白”をしている。
これらの実話を踏まえて2004年に発表されたノンフィクション作品”I Heard You Paint Houses”(チャールズ・ブラント著)を元に映画化したのが本作である。Netflixが1億2千500万ドルもの巨額の製作費を投じる。作品は晩年のフランク・シーランが過去を振り返ることで展開されるようだ。
今回はフランク・シーラン役にロバート・デ・ニーロ、ジミー・ホッファ役にアル・パチーノ、シーランが属したマフィアのボスであるラッセル・ブファリーノ役にジョー・ペシ、同じくマフィアのボスであるアンジェロ・ブルーノ役にハーヴェイ・カイテルなど名優が総出演となっている。主要キャストは皆70歳代以上だが、劇中ではほぼ半生を描くため、CGを利用して俳優たちを若返らせる特殊効果が施されることが話題となっており、予告編でもその一端が垣間見える。

アイリッシュマン(2019年)
© Netflix,Martin Scorsese
ジミー・ホッファはこれまでも繰り返し映画化されており、ホッファの若き日をモデルにした人物をシルヴェスター・スタローンが演じた「フィスト」(1978年)、ジャック・ニコルソンがホッファを演じた「ホッファ」(1992年)などがある。
本作は9月27日『第57回ニューヨーク映画祭(NYFF)』で上映され、あわせてアカデミー賞の選考対象となるために2019年後半、米国で劇場公開される予定。
