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フランス南西部カオール市で七世紀メロヴィング朝時代の石棺と女性の遺骨が発見

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メロヴィング朝時代の石棺

メロヴィング朝時代の石棺
© Département du Lot

フランス南西部、オクシタニー地域圏ロット県カオール市で、7世紀、メロヴィング朝フランク王国時代の高齢の女性の人骨が入った石棺が発見された。

石棺は2019年7月22日、カオール市のロット県議会の敷地で建設工事中に発見されたもので、2019年8月13日、国立予防考古学研究所(“Institut National de Recherches Archéologiques Préventives”,INRAP)とオクシタニー地域圏考古学サービスによって発掘作業が行われた。

発見された石棺は四つの側面を持つ切妻屋根状の蓋で覆われた七世紀頃の製作とみられる石灰石の石棺で、モルタルで密閉されていた。開封したところ、中には高齢の女性の遺骨が横たわっており、変形性関節症の症状が見られるという。

メロヴィング朝時代の石棺と人骨

メロヴィング朝時代の石棺と人骨
© Département du Lot

発見された土地は、7世紀にディディエ・ド・カハルスによって設立された修道院があった、かつてのサン・エティエンヌ・デ・スビロス教会、現サン・バルテルミ教会の近くにある。1659年に同教会が建設されたとき、メロヴィング朝時代の教会堂の重要な土台が発見された。

メロヴィング朝フランク王国は481年、フランク族の指導者クローヴィスが北フランス一帯に建国した王国で、クローヴィス王死後、四人の子供たちの間で王国は分割、末子クロタール1世によって再統一された後の561年、アウストラシア、ネウストリア、ブルグンディアの三王国に再分裂し、ダゴベルト1世(在位629年~639年)によって改めて統一された。

カオール市はローマ時代から有力都市として知られ、メロヴィング朝初期はフランク王国に属していなかったが、六世紀、アウストラシア王テウデベルト1世の侵攻で破壊された。聖ディディエ・ド・カハルスによって650年頃、最初の大聖堂が築かれ、あわせて廃墟となっていた町が再建されている。

カオール市も含むアクイタニア(アキテーヌ)がフランク王国の支配下に入ったのはダゴベルト1世の治世下だが、事実上独立勢力として存立しており、メロヴィング朝が終焉してカロリング朝時代の768年、カール大帝の父カロリング朝初代ピピン3世によって征服された後ようやくフランク王国に組み込まれた。

メロヴィング朝時代の石棺と人骨 © Département du Lot

メロヴィング朝時代の石棺と人骨
© Département du Lot

石棺が埋められた時期である七世紀、ダゴベルト1世時代以降のカオール市については謎に包まれていると、ロット県の考古学部長ロラン・グイヤード氏は言う。また、INRAP南ピレネー次長ジャン=リュック・ブダーチョク氏によると「当時、石棺の埋葬は非常にまれであった。たいていは木製か陶器製だ」という。

発見された石棺はカオール市立アンリ・マルタン博物館に運ばれ、引き続きINRAPによって年代測定など詳細な調査が行われる。

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参考文献・リンク

・柴田三千雄他編『フランス史〈1〉先史~15世紀 (世界歴史大系)』山川出版社, 1995年)

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Cahors — Wikipédia

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