カナダCBCニュースによると、カナダのブリティッシュコロンビア州のノースショア山脈付近にあるロワー・シーモア保護区で、20世紀前半にさかのぼる日本人の入植地が三つ発見された。
ノースショア山脈の森林地帯での人々の居住生活について調査していたキャピラノ大学の考古学者ボブ・ムックル(”Bob Muckle“)氏と学生の調査チームはロワー・シーモア保護区内で日本人の入植地三か所を発見した。
三つの集落ではあわせて14軒の小さな家のほか、浴場、小さな神社、庭園、貯水槽の遺構と、時計や懐中時計、目覚まし時計などの身の回り品や、衣類、革製のブーツ、食器の破片などが発見されている。
ムックル氏はCBCの記事で「多くの住宅があったがほとんど誰にも知られていなかった。1930年、大バンクーバー水区(”Greater Vancouver Water District(GVWD)”,ブリティッシュコロンビア州を含めた広域に水道水を供給する行政区分)が上水に近いので人を入れない方がいいと決めたからだ」という。
その上で「バンクーバー川流域水道局はレストラン、牧場、果樹園、商店などの私有財産を買い占め始め、それらを焼き払った」という。「その後、40年近くにわたって谷を閉鎖し、森に任せることにした」と未発見だった経緯を説明している。
この三つの入植地では、少なくとも1918年から1942年まで日本人が生活していたと考えられている。「1942年の2月は、第二次世界大戦のために日系人が移住先の収容キャンプに送られた時期であり、彼らが持って行くことができたのは手で持ち運べるものだけだった」と彼は言った。
発見された1000点に及ぶ遺品のほとんどは地中に埋められていた。また、抑留に備えて浴場の内部に隠されていたと思われるカメラの小片がいくつか発見されている。
今回発見された遺品類はカナダの日系人の歴史にフォーカスされた博物館である「バーナビー日系カナダ人国立博物館” Nikkei National Museum in Burnaby”」に収蔵される。