スペインで旱魃により貯水池が干上がり約5000年前の大規模ストーンヘンジが出現

スポンサーリンク
出現したストーンヘンジ

出現したストーンヘンジ
© Rubén Ortega Martín / Raíces de Peralêda

スペイン西部、エストレマドゥーラ州カセレス県の県都カセレス市近郊ペラレダ・デ・ラ・マタの貯水池が旱魃によって干上がり、水底から約5000年前に作られた大規模なストーンヘンジが姿を現した。

高さ6フィート(約1.82メートル)以上、144個の蛇の彫刻が刻まれた花崗岩が円形に並び、使われている岩石は放射性炭素年代測定によって約4000~5000年前のものだと判明している。

すでにローマ人が記録に残したが、最初の発見は1925年、ドイツ人の聖職者で考古学者フーゴ・オベルマイヤー(” Hugo Obermaier”)である。オベルマイヤーは放置されていた遺跡を発掘し、宝物はドイツに持ち帰り、現在ミュンヘン博物館に収蔵されている。1960年代、独裁者フランコ総統はこの地に水力発電ダムの建設を命じ、1963年、貯水池が築かれて丸ごと水底に沈んだ。

出現したストーンヘンジ

出現したストーンヘンジ
© Rubén Ortega Martín / Raíces de Peralêda

今年2019年、スペイン西部が記録的な旱魃に襲われたことで、貯水池の水が干上がり五十年以上ぶりに姿を現した。ペラレダ文化協会のアンヘル・カスターニョ会長はThe Local Spain紙に「私たちは湖の下に隠された宝の伝説を聞いて育ち、ついにそれを見ることができた」という。「昔々、石の下に宝が埋められていたことは確かだが、今の我々には、石こそ宝そのものだ」。

カスターニョ氏によると、「石は5キロほど離れたところから運ばれ、太陽崇拝を目的としたと思われるこの寺院を作った」という。「宗教的な目的と同時に経済的な目的もあったようで、ここは川を渡れる数少ない場所の1つだったので、一種の交易の拠点であった」。

出現したストーンヘンジ

出現したストーンヘンジ
© Rubén Ortega Martín / Raíces de Peralêda

カスターニョ氏は、地元住民のグループを率いて再び水面が上昇して水底に没する前にストーンヘンジを乾燥した土地に移すよう運動している。「もしこのチャンスを逃せば、再び明らかになるまでに何年もかかるかもしれない」「既に浸食や亀裂の兆候が見られる。今行動しなければ手遅れになるかもしれない」と述べている。

ストーンヘンジ、ドルメン、メンヒルなどの古代ヨーロッパの巨石文化は紀元前4600年ごろと推定されるフランス・ブルターニュ地方プルエゾッホ村のパルネネスのケルンが最古のものと考えられている(原聖72-73頁)。フランス西部からカタルーニャ、イベリア半島、チャンネル諸島、サルディーニャ、コルシカ島、そしてブリテン諸島などに広がっているが、これらの巨石文化の拡大の過程は謎に包まれたままだ。

DairyMail紙によれば、このようなモニュメントを作るための知識と技術が船員によってヨーロッパ中に広まったという考えが、2月に発表された科学論文で示されたという。スペインのストーンヘンジをさらに調査すれば、古代ヨーロッパで巨石文化を成立させた異なる時期に異なる地域で行われていた巨石建造物製作の慣習について、より詳細な実態が明らかになるかもしれないと期待されている。

スポンサーリンク

参考書籍・記事

・原聖著『興亡の世界史 ケルトの水脈(講談社学術文庫)』(講談社,2016年)

Just a moment...
'Spanish Stonehenge' revealed after brutal drought dries reservoir
It was thought to be condemned to the history books in the 1960s when a Spanish general ordered the construction of a hy...