サラミス海戦時の艦隊集結地付近の水中から古代の建物や神像が発見

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発見された大理石像の頭部

発見された大理石像の頭部
© C. Marabea./Greek Ministry of Culture and Sports

紀元前480年のサラミス海戦時、ギリシア艦隊が集結していたサラミス島のキノソウラ( Kynosoura )半島とアンペラキア( Ampelakia )湾の海域で2018年6月から7月にかけて行われた水中調査の結果、水中にサラミス海戦の時期まで遡ることができる遺跡が発見されたと、2019年6月、ギリシア共和国文化スポーツ省(Ministry of Culture and Sports)が発表した。非常に大きな発見としてNewsweek他各紙が報じている。

浅瀬に建てられていたその構造物は、長さ約50フィート(約15.24メートル)、南北軸上に北と西に伸びて構築されており、都市の港に直接隣接した最も低い場所にあるアゴラの縁にあった主要な公共建造物の1つだった可能性が高いという。古典時代からヘレニズム時代に建てられ3世紀のローマ時代後期まで使われていたと考えられている。現地の現在の桟橋はこの水中の建物の東側を土台としている。

発見された大理石像の頭部

発見された大理石像の頭部
© C. Marabea./Greek Ministry of Culture and Sports

主な発掘品としては古典時代後期・ヘレニズム時代およびローマ時代後期相当の陶器の他、大理石の彫像の断片、建築部材、柱、台座などがあり、中でも大理石の作品として、アスリートか神像である可能性のある若者の完全な頭部が特筆される。ヘルメス神の像かもしれないという。

この彫像の頭部は紀元前4世紀頃のものと考えられ、独創的で完成度が高く、いくつかの様式上の特徴から古代ギリシアの彫刻家スコパス(前395年頃~前350年)またはリュシッポス(前390年頃~前300年頃)の流派に関係があると認められている。

2018年の調査では、柔軟性のあるバリアを構築するという新しい技術を用いて、掘削されている地域を排水し、現地のより良い視界を確保することで、堆積物のサンプルを採取し建物の年代測定に役立てた。

アンペラキア湾北西部の水中調査現場

アンペラキア湾北西部の水中調査現場
© Κ. Κatris../Greek Ministry of Culture and Sports

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サラミスの海戦

紀元前480年、アテネを主力としたギリシア連合艦隊が、アッティカとサラミス島の間のサラミス水道でペルシア艦隊を破り、ペルシア王クセルクセス1世のギリシア侵攻を食い止めた戦い。この戦いに先立ってレオニダス1世率いるスパルタ軍がペルシアの大軍を迎え撃ち激戦の末に壊滅したテルモピュレーの戦いが行われた。

参考ニュース

https://www.tornosnews.gr/en/greek-news/culture/35934-new-finds-from-underwater-research-on-historic-greek-island-of-salamis.html
Ancient Greece: Monumental Structure From Site of Pre-biblical Battle Found
The Battle of Salamis between the Greeks and Persians is thought of as a turning point in Western civilization.
New finds from underwater research on Salamis - Archaeology Wiki
Research was conducted by the Institute of Marine Archaeological Research (IMAR) in collaboration with the Ephorate of U...
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参考文献

・世界史小辞典編集委員会 編『山川 世界史小辞典』(山川出版社, 2004年)