「アメリカ議会図書館(“Library of Congress”)」は同図書館所蔵の初期仏教史に関する「ガンダーラ語仏教写本」の最古級の写本の一つ「ガンダーラ・スクロール” Gandhara scroll”」のデジタル化およびオンライン公開を行ったことを発表した。
「ガンダーラ・スクロール” Gandhara scroll”」はガンダーラ語カローシュティー文字で書かれた写本で、Dīpaṅkara, Sarvābhibhū, Padmottara, Atyuccagāmin, Yaśottara, Śākyamuni, Tiṣya, Vipaśyin, Śikhin, Viśvabhū, Krakucchanda, Konākamuni, Kāśyapa, Śākyamuni, Maitreyaの十五仏の生涯を描く。
『釈迦が説法するもので、釈迦の前に現れた十三仏の伝記を述べ、その後釈迦として誕生し、未来の仏である弥勒菩薩の予言に結実する。伝記には、それぞれの仏がどのくらいの期間生きていたか、どのようにして釈迦の出現を予言したか、どのような社会階級に生まれたか、どのくらいの期間教えに耐えたかなどの情報も含まれている』(”Gandhara scroll. | Library of Congress” より)
この写本は放射性炭素年代測定によると紀元前1世紀~後1世紀頃に遡り、同図書館アジア部門では最古の所蔵品となる。2003年に同図書館が英国の古美術商から購入した。「これは同様の写本に比べ非常に古いものであり、歴史的には生前の釈迦に比較的近い」と、アメリカ議会図書館アジア部門のジョナサン・ロアー(”Jonathan Loar”)氏は言う。
ワシントン大学英国図書館(” British Library-University of Washington”)初期仏教史写本プロジェクトのディレクター、リチャード・サロモン(” Richard Salomon”)氏によると「この写本は元のテキストの80%近くが保持され、先頭と末尾だけが失われている。他のガンダーラ語仏教写本はもっと断片的である」という。
ロアー氏は「ガンダーラ・スクロールは、アメリカ議会図書館でこれまで扱われた中で最も複雑で壊れやすいものの一つであると言って差し支えない」という。ゆえに、今回のデジタル化の意義としてロアー氏は「この作品をデジタル化することで、世界中の学者や仏教界は、仏教の歴史の中であまり知られていない部分を知ることができるようになる」とプレスリリースで述べている。
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アメリカ議会図書館プレスリリース
ジョナサン・ロアー(”Jonathan Loar”)氏によるエントリー