アフガニスタン南東部の主要都市ガズニーで、2019年6月11日、歴史的な塔が崩壊し、海外各メディアが詳細を報じている。
Largest tower of the historic citadel of #Ghazni has collapsed.
15 of the 36 towers in the 12th century citadel have now collapsed or been severely damaged.
Neglect, corruption, and the war are putting all of #Afghanistan's ancient treasures at risk.
Photo by @JoyaRabeah pic.twitter.com/eiC4V81172
— Frud Bezhan (@FrudBezhan) 2019年6月12日
ガズニー州の州都ガズニーの歴史は古く、紀元前六世紀、ペルシア帝国の王キュロス2世によって征服され、紀元前四世紀、アレクサンドロス大王がオピアナのアレクサンドリア(アレクサンドリア・ガズニー)を建設、以後、古代ギリシアのプトレマイオスがガザカとして記録に残す。イスラーム化以前は仏教の中心都市として栄え、七世紀の唐僧玄奘にも『大唐西域記』で言及されている。その後ガズナ朝(955-1187年)の首都として栄え、ガズナ朝時代の十二世紀に建てられたガズニーのミナレットは名高い。十三世紀にはモンゴル軍の侵攻に対しホラズム・シャーのジャラールッディンがガズニーを根拠として抵抗した。以後、要衝として栄え、19~20世紀の第一次~第三次アフガン戦争から現代のタリバーンまでガズニーを巡って戦闘が繰り返されてきている。
今回崩壊したのは十三世紀頃にガズニー旧市街を取り囲むようにして建てられたガズナン城塞の32(あるいは36)の塔の一つ。なお、一部メディアでは「2000年前の古代の塔”An ancient tower dating back 2,000 years”」とするアフガニスタン政府発表をソースにして報じており、崩落した塔の建築年代については情報が錯綜している。
交通の要衝であったため繰り返し戦火にさらされ、BBCによれば、近年のタリバーンの攻勢で都市の古い建物の多くに人が立ち入ることができなくなっており、多くが破壊の危機にあるという。また、ARAB NEWSによれば、近年の戦争や災害、管理の困難さからここ数十年で14の塔が崩壊していた。
TOLO NEWSによれば、情報文化省の広報担当者 Mohammad Saber Mohmand 氏は『城塞の近くを通る主要幹線道路の影響を塔が受け、その間、城塞は降雨に対して脆弱で、大部分は雨によって損害を受けていいる。』と語った。
これに対し、城の近くに住む住民からは「私たちは政府に城塞の悲惨な状態について警告したが、誰も訪れなかった。」「政府はその場所に注意を払わず、洪水の水を迂回させるための運河を建設しなかった。」と政府の過失を指摘する声も挙がっている。
NEW YORK POSTによると、ガズニーの情報文化担当 Mahbubullah Rahmani 氏は「豪雨と最近の戦闘が塔の崩壊に寄与したが、政府は完全な破壊から敷地を守る計画に取り組んでいる」と述べた。
また、ユネスコ危機遺産リストに登録されているアフガニスタンのゴール州にある『ジャームのミナレット』の状況に関する懸念が、ガズニーの塔の崩壊に続いて起こっているという。