ブルガリア、ローマ帝国の都市デウルトゥム遺跡で青銅製の軍役終了証書の断片が発見

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発見された軍役終了証書

発見された軍役終了証書
© Deultum archaeological reserve

ローマ帝国時代デウルトゥム(” Deultum “)という有力都市だったブルガリア共和国南東部ブルガス州スレデッツ市のデベルト(英語” Debelt ”,ブルガリア語” Дебелт”)村で、二世紀の青銅製のローマ軍の軍役終了証書の一部が発掘された。

デウルトゥムは西暦70年頃、ヴェスパティアヌス帝(在位69年~79年)の治世下で建設されたトラキアの古代都市で、巨大なローマの浴場、紀元2世紀の寺院、古代ローマのヴィラ、碑文や彫像の一部を備えた多数のラピダリウム(” Lapidarium ” =石碑や柱、彫像などを展示した一帯のこと)がある。今回の発見に先立って後期ローマ~初期ビザンツ時代に建てられた要塞塔も発見されている(発見のニュース

デウルトゥムは建設後、第八軍団アウグスタの復員軍人の居留地となった。第八軍団アウグスタはローマ帝国最古の軍団の一つで、紀元前58年、カエサル指揮下でガリア戦争に活躍、オクタヴィアヌス帝の下で再結成されアウグスタの名を与えられた後、紀元46年、トラキアで起こった反ローマの反乱を鎮圧するためにデウルトゥムの北西ノバエに駐留した。

デウルトゥム"Deultum"遺跡

デウルトゥム”Deultum”遺跡
© Камен Ханджиев [CC BY-SA 4.0 ]

今回発見された断片は非常に小さく、4cm×4cmの大きさで青銅製。終了証書には、西暦122年7月17日にローマ皇帝ハドリアヌス帝(在位117年~138年)が出した、ダキア地方南部の補助部隊から兵士を名誉除隊するという命令の写しが含まれていた。

デウルトゥム遺跡保護区の責任者であるクラッシミラ・コストヴァ”( Krassimira Kostova ”)氏は、これは「ユニークな」発見で、「40年近くにわたる考古学的な発掘調査で、このような発見があったのは初めてである」と付け加えた。コストヴァ氏は「この断片は我々にとって非常に価値があり、わずか4cm四方の大きさだが、十分な情報を与えてくれる」と言う。

これらの文書は、正規の兵役(25年以上)についた補助部隊の兵士に発行され、ローマ市民権を与えられた。全ローマ市民で構成された軍団(レギオン)とは異なり、補助部隊は全帝国から動員され、ローマ市民でない多くの人々を含んでいた。名誉除隊の手続きを経て、退役軍人たちは銅板2枚に市民権の証明を彫り込むことができた。長年の兵役の間、多くの兵士が家族を作ったが、除隊まで正式に結婚を許されなかったため、証書は結婚の正当化に役立った。すでに子供ができている場合は、軍人としての資格も与えられた。

現在、フリスト・プレシュレノフ(” Hristo Preshlenov ”)准教授率いる研究チームがこの遺跡を調査しており、浴場の南側にあると考えられるローマ植民地の広場がどこにあったのかを突き止める予定だという。

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